年賀状のあれこれ

「春の始めの御悦び、貴方に向かってまず祝い申し候」(春始御悦向貴方先祝申候訖)
平安時代後期の学者、藤原明衡(あきひら)の『明衡(めいごう)往来』という手紙文集にある文章です。
これにより、既に平安時代には新年の年賀状の原型となる手紙のやりとりがあったことがうかがえます。

いつごろから今の”年賀状”になった?


鎌倉時代には手紙に使われる単語や単文などを集めた『庭訓(ていきん)往来』が広く普及し、江戸期には下級武士や商人などにも、遠戚や知人に年始の書簡を書き送る風習が浸透していたようです。
また、諸大名は将軍家に対し1月3日に年始の挨拶状を届けたとも言われます。
現在のような年賀状の形態はやはり明治時代の官製はがきの制度が確立してからとなります。
昭和に入り、お年玉付きの年賀はがきの発売で完全に定着したと言えるでしょう。

年賀状の書き方


さて、先日新聞を見ていたら「年賀状の書き方の基本」という記事がありました。
当たり前のことが書いてあるのですが、あらためて確認しましょう。

まず、宛名面を「表書」、文面を「裏書」とするようです。
「表書」については、一般的な手紙と違いはありません。
縦書きの場合は、番地や部屋番号は原則漢字(12なら「十二」)とします。
敬称は、一般的には「様」を用います。 「殿」は年賀状ではあまり用いられません。

次に「裏書」です。 新年のお祝いの言葉を「賀詞(がし)」といい、「あけましておめでとうございます」「謹賀新年」などが当たります。年賀状ではこの「賀詞」を最初に書きます。

次に、挨拶や御礼などの謝辞を書きます。変わらぬ友誼への感謝や、この一年間の相手の幸福を念願する真心の言葉を書きます。ここでは、相手が不快になるフレーズはできるだけ避けるようにとの注意書きがありました。

さて、日付の記載ですが、届いた年賀状の返礼を出す場合もあるでしょう。
1日に出す場合は「元旦」でよいのですが、2日以降の場合は投稿日の日付にするそうです。一般的に年賀は松の内(1月7日迄)を指しますので、7日以降に届くケースでは年賀ではなく「寒中見舞い」とするそうです。

1月の間なら年賀状で良いと思っていた方も、少なくないのでは?