世界における近代郵便制度は1840年にイギリスで誕生しました。
その頃は日本ではまだ飛脚が走る江戸期の天保年間です。
明治に入り、列強と立ち向かうための軍備増強論が根強い中、のちに郵便の父とあおがれる前島密や盟友の渋沢栄一らは、日本が今後も成立していくには近代化が必要で、それには通信と交通のインフラが必要と考えます。
そして、1872年に、新橋―横浜間に鉄道が開業。
郵便制度発足の翌年のことです。
以降、大阪―神戸間、京都―大津間と開通、1889年には東海道線の新橋―神戸間が全線開通します。
前島は、速さが求められる郵便に鉄道を利用することを提言し、鉄道の創業と時を同じくして鉄道による郵便物の輸送が開始されます。
そして、鉄道の伸張に伴い輸送距離も延び、郵便物が激増します。
こうして日本の郵便制度は、数年前までの飛脚による通信手段から、世界屈指の郵便制度へと変貌をとげるのです。
まさに、鉄道と郵便制度の発展の相乗効果でした。
日本の近代化は、国外に向けた軍備増強だけではなく、国内に目を向けたことで成し遂げられたことは興味深く感じます。
いま、日本は世界に類例のないハイスピードの高齢化社会へと移行しています。
いまこそ日本は高齢者に優しい国として、世界屈指の新たな変貌を遂げたいものです。