郵便受箱(メールボックス)について

今ではどの住宅にもある「郵便受箱」。
昭和30年代に入ると高層の建物を考慮した郵便配達を行う必要から、郵便法第43条にて「高層建築物に係る郵便受箱の設置」が義務付けられました。

郵便受箱の設置義務

「階数が3以上であり、かつ、その全部又は一部を住宅、事務所又は事業所の用に供する建築物で総務省令で定めるものには、総務省令の定めるところにより、その建築物の出入口又はその付近に郵便受箱を設置するものとする。」

その郵便受箱の設置については、「郵便法施行規則」第11条に大要次のように定められています。

(1) 1つの郵便受け箱を2つ以上の住宅等が共同して使用してはいけない。
ただし、同一の部屋を2つ以上の事務所又は事業所が共同して使用している場合はかまわない。
(2) 長さ30cm以上、幅20cm以上、厚さ12cm以上であること。
(3) 配達された郵便物を安全に保護できる構造や材質で、さらに郵便物の取出口に施錠することができること。
(4) 郵便物の差入口の大きさが、縦2cm以上、横16cm以上のものであること。
(5) 設置場所が、郵便物の配達に支障のない場所であること。
(6) 世帯主の氏名、事務所若しくは事業所の名称(屋号その他の称号を含む。)又は室番号を明示したものであること。

この頃から一般の戸建住宅における郵便受箱の設置も整備されていきました。
近年では「メールボックス」という名称が一般的でしょうか。一見、メールボックスには見えないようなスタイリッシュなものもあります。

ところで、最近は家にあまり帰らない人や長期不在の人も多く、メールボックスが一杯になっていることがよくあります。また、大きなサイズの郵便物も多く、メールボックスに入らないものは配達員さんが呼び鈴を鳴らしてくれたり、何とかして家の中に投げ込んでくれたりと涙ぐましい努力をしてくれていますが、やむなく不在票を入れてそのまま持ち帰ることもあります。

郵便物の抜き取り犯罪-法律上は?


さて、以前よりメールボックスから郵便物を抜き取るという被害をよく耳にします。言うまでもなくこれは立派な犯罪です。
お隣さんの郵便受けから勝手に手紙を抜き取って開封してしまうとどのような罪に問われるのでしょうか?
まず、普通に窃盗罪が適用されることでしょう。但し、郵便局の配達員の仕事は投函するまでですので、その後の盗難や紛失には対応できません。自身でビデオカメラにおさめるなどの努力が必要です。
刑法に「信書開封罪」(郵便物に限りません)の条項(法133条)があり、封をしてある信書を正当な理由なく開封した者は、1年以下の懲役または20万円以下の罰金に処せられます。
また、他人の信書を隠した者は、信書隠匿罪(刑法263条)で処罰されます。(ただし、共に被害者の告訴がないと起訴はできません。)
では、他人のメールボックスの中を覗いていた場合はどうなるのでしょうか?これは犯罪とまではいきません。どちらかというと「プライバシーの侵害」のレベルです。

この「郵便受箱」が普及する前は、配達員さんが一軒一軒扉をガラガラと開けて「郵便でーす」といって郵便物を渡すという、各家庭と顏の見える付き合いをしてしていました。
現代ではもう見ること叶わぬ古き良き日本の風景にあげてもよいのではないでしょうか?