サラリーマンの聖地

新橋と言えば「サラリーマンの聖地」と呼ばれ、酔っ払いへのインタビューといえば十中八九が新橋の烏森口近辺です。
ところで、この「烏(カラス)森」ですが、SL広場から日比谷通り方面に抜ける細い道の奥にある「烏森神社」の名前から来ているようです。

平将門(たいらのまさかど)の乱と烏森神社の関係


完璧な歓楽街にあり、参拝者数もダントツでサラリーマンというこの神社。
実はかつて大河ドラマ「風と雲と虹と」で名優・加藤剛が演じた武将・平将門(たいらのまさかど)に関係している歴史的にも有名な神社だったのです。

将門といえば「平将門の乱」が有名です。 10世紀の中程、平将門が不本意ながらも朝廷に反旗を翻し、関東八カ国の国府を次々に攻撃し国司を追放。やがて関東一円を手中に収め、自らを「新皇」と名乗った出来事です。
天皇の流れを汲む者が国家に反逆したばかりか、国を二分させる未曾有の大事件でした。

将門はかつての主君である藤原忠平に自分の行動についての手紙を書いています。
「昔は武力・兵力で天下を取った者が多く歴史書に載っている。我が武力は天授である。天下のだれが私に並ぶであろうか。」

事態を重く見た朝廷が将門討伐を決意。鎮圧した一人が藤原秀郷(俵藤太)でした。
将門が乱を起こした時、藤原秀郷が武蔵国のある神社に戦勝祈願をしたところ、白狐が現れて秀郷に白羽の矢を与え、その矢によって将門を鎮圧できたと言われています。
その後、神社の創建を考えていた秀郷の夢にその白狐が現れ、神鳥が群がる場所こそ霊地であるとお告げした。
秀郷が桜田村を訪れた際に、お告げの通り烏が群がっていたのが現在の烏森神社だそうです。

この地はかつて江戸湾の砂浜で一帯は「枯州の森」あるいは「空州の森」と言われる松林だったようです。
一説には烏が多く集まっていたことから後には「烏の森」とも呼ばれるようになったと言い伝えられています。

その後さらに10世紀が経過した現在、毎夜の烏森は酔っぱらいが群がり武勇が語られる「サラリーマンの聖地」となりました。
誰のお告げ?