ハガキトスルメ

世界の郵便制度そのものの歴史は古く、16世紀初頭にヨーロッパで始まったようですが、「はがき」の制度は意外と新しく、オーストリアで1869年に発行されたのが世界初と言われます。

明治時代の郵便事業にかける思い

ちなみに、日本での最初の郵便はがきは、1873年(明治6年)12月1日に発行。
日本の郵便制度が発足してから2年後、世界ではがきが登場してからわずか4年後には日本でも郵便はがきが使われたのですから、当時の明治政府の郵便事業発展にかける思い、列強に追いつかんとする熱意が伝わってくるようです。

江戸時代に幕府の政策で全国的に街道が整備され、特に江戸後期には飛脚による通信網が形成されましたが、扱う書簡の中には近代以降のはがきに相当するような簡易な書簡も存在し、郵便制度の確立以前からこのはがきに相当する情報伝達方法が盛んであったようです。
こういった下地があったからでしょうか、官製のはがき利用の普及率はヨーロッパをしのぐ勢いだったようです。

さて、日本最初のはがきの形状は二つ折り。薄手の紙を折り重ねて強さを増そうとしたためだそうです。
現在では、第二種郵便物として大きさや重量もしっかりと決められ、普通はがきの場合は長辺14.0~15.4短辺×9.0~10.7センチメートル、重量2~6グラムの長方形とされています。
これを超えると差し出せないわけではありませんが、はがきの料金ではなく定形外郵便物として扱われる可能性があります。

本当にあった「するめ」の手紙


ところで、昔「干したイカに切手を貼って住所を書いてポストに投函すればちゃんと届くよ」という話を聞いたことはありませんか?
本当に受け取ったことがない(というかやめてほしい)ので真偽のほどはわかりませんが、和歌山南の漁業組合では紀州のスルメイカの胴体を乾燥・真空パックして定形封筒に入れてスルメのはがき「するめーる」としてサービスを商品化していました。
正確には第一種定形郵便物ですが、通常タイプの他、年賀用や暑中見舞用を用意する力の入れようには感服。
漁業組合のホームページには注意書きもありました。
「(調理例)酒の肴・おやつ等に軽く焼いたのちマヨネーズ醤油等をつけてお召しあがり下さい。」
「(保存方法)保存料等は一切使っていませんので、ハガキとして出されるまでと受取後は冷凍保存して下 さい。」

猫を飼っている家庭に自家製「するめーる」の暑中お見舞いや年賀状を送ってみるのも粋かもしれません。
ただし、ダイオウイカはやめましょう。「定形外」になりますから。