切手の「デザイン」

普通切手は、通常ハガキ用に63円切手、封書用に84円及び94円がよく利用されます。
新たな切手が発行されると、そのデザインも楽しみです。ウメ、スミレ、ソメイヨシノといった花々をあしらい美しい仕上がり。

1年間に発行される新たな切手の種類は約40種類


日本郵政のホームページをのぞくと、オリジナル切手作成サービスのメニューがあります。用意されている切手フレームに自分の好きな画像を組み込むことで簡単にオリジナルの、しかも本物の切手が作成できるというもの。
家族の写真や旅行での風景などをおさめても良いでしょうし、プレゼントなどちょっとしたサプライズに使えそうで、大変に魅力を感じました。

ところで、年間であらたに発行される切手の種類は約40種類。日本の郵便制度140年の中で日本国内で発行された切手のデザインは3千種類以上と言われています。
そのデザイン性の高さからか日本の切手は世界の中でも最も高い人気を誇ります。記念切手を数十枚並べてみると、なるほどその芸術性には驚きを禁じえません。おそらく生活の中で一番身近な本格アートといえるのではないでしょうか。

では、一体このデザインは誰が描いているのでしょうか。
実はあるテレビの番組で紹介されたことがあります。本社内に「切手デザイン室」があり、そこで作成されているのですが、デザイナーの数はほんの数名。その数名が日本を代表し、歴史をも刻むデザインを残しているというのです。

この切手デザイン室の前身は戦後の逓信省郵務局の中に設置された「切手周知係図案部」。1円切手「前島密」の加曾利鼎造、5円「おしどり」の木村勝、「東京オリンピック」の渡辺三郎といったデザイナー(当時は技芸官)の名もまた歴史に刻まれています。
以前、郵便事業会社(当時)のホームページには切手デザイン室通信「切手デザイン――文化の小さなキャンパス」というページがあり、切手デザインにまつわるエピソードや記録、デザイナーへのインタビューなどすばらしい「記録」がありました。
中でも楽しいのが切手のトピックスで、発行されるデザインの根拠、また発行シート数などの情報がオープンでした。
例えば、2010年4月には平城遷都1300年記念ということで国宝・重要文化財の仏像が、また翌年1月には日本とドイツ(当時はプロイセン)との間で修好通商条約が締結されてから150年記念ということで両国でお互いの国の文化遺産を紹介するデザインの切手を発行等々。
更には、過去の切手を検索できる切手データーベース機能もあり、切手収集家でなくとも興味をそそられるものでした。是非復活して頂きたいものです。

これから世に出る切手も、やがてはその世代の人々の思考や趣味、価値観を如実に反映した文化・歴史そのものとなり、更には人類の文明の証言者となるのでしょうか。
そんな歴史の1ページに、いま、自分のオリジナル切手をそっと紛れ込ませたくなるのも不思議な気持ちです。