切手の博物館と「まことちゃんポスト」

JR高田馬場駅前の雑踏を抜け目白駅方面への優雅な坂道に歩みを進めると、学習院大学裏手の近代的な建物の前にある変わったデザインの郵便ポストが目に入ります。

白赤のボーダー柄、くりくりの目に「グアシっ!」

そう、漫画家・楳図かずお氏の「まことちゃんポスト」です。ではここは何でしょう?

ここは「切手の博物館」。
郵便切手文化の振興と発展のために切手収集家・水原明窓(みずはら めいそう)が私財を投じて1988年に設立した財団で、96年に渋谷から目白に移転しました。

世界中で60万種ともいわれる郵便切手のうち半数以上を所蔵し研究調査を続けており、切手の魅力を広く世に伝えるための各種イベントなどを適時開催しているそうです。

また、使用済み切手による国際保健医療協力活動を行う日本キリスト教海外医療協力会(JOCS)にも協力しているようです。
JOCSは、日本全国から寄せられる使用済み切手や書き損じハガキなどをアジアやアフリカの保健医療への協力のために役立てています。

さて、日本で発行された最初の切手は、郵便制度が始まった1871(明治4)年の「竜文切手」です。
世界に目を向けてみると、世界最初の切手の発行は、日本のそれとは31年も前とのこと。
それは、イギリスで発行された「ペニーブラック」と呼ばれるヴィクトリア女王(1819~1901)の横顔が図柄の切手です。
この博物館では、その世界と日本の最初の貴重な切手の実物を一度に見ることができました。
そのほか、販売買取コーナーでは「見返り美人」といった珍しい切手も拝見できました。

ところで、なぜポストが「まことちゃん」だったのか。。。。

このポストは、2016年5月に開館20周年を記念して設置されたもの。
楳図かずお氏が3年間住んだ目白の地ということが縁のようです。
ではなぜ、漫画家に依頼があったのか。

どうやら、この博物館のある豊島区が関係しているようです。
1950年代、有名な手塚治虫をはじめ多くのマンガ家が住んでいたアパート「トキワ荘」があったのが豊島区の「椎名町」(現在は南長崎)です。
そのトキワ荘が日本のマンガ文化を作り、その後の日本の高度なアニメ技術の発展にもつながっていきます。

同じ豊島区内の池袋は、今ではアニメ好きの若者の聖地として賑わいを見せていますが、その源流には若き漫画家たちの活躍があったのです。

いまの日本を代表する漫画家の一人である楳図氏が、手紙離れと言われる若い世代が改めて手紙の文化に触れるきかっけとなることを願って制作した「作品」。
是非、「まことちゃん」世代のお父さん・お母さんはお子さんを連れて行ってみては?

でも、手紙はポストに投函しましょう。博物館を郵便局と間違えて差出に来る方、多いらしいです。サバラっ!