埼玉県の武蔵浦和にある「さいたま中央郵便局」で、敷地内に認可保育所「アスク武蔵浦和保育園」が設置されたのは、2018年4月のこと。JPホールディングスの子会社である日本保育サービスが元駐輪場の建物を改装したもの。
このように、日本郵便では、郵便局の空きスペースなどの利活用を事業の一環として検討しているそうです。
郵便局というインフラ活かした環境整備
いまあるインフラを活かして社会の抱える課題の解決に寄与することは大変に意義あることと思いました。
いま、子育ての環境整備の問題、特に保育所の確保は、出生率だけでなく女性の社会進出にも直結するだけに、各自治体も真剣に取り組まねばならない深刻な課題です。
郵便制度の成り立ち
ここで、日本における郵便制度の成り立ちにも思いを馳せてみました。
本珍話にも何度か郵便制度の成り立ちについては掲載してきましたが、明治初期の日本という国に素早く浸透した郵便制度には、当時の社会インフラと密接な関係があります。
郵便制度の確立には、郵便の取り扱いを行う拠点(郵便局)を全国に設置しなければなりませんでしたが、当時の明治政府には財政的に困難でした。その時に、駅逓頭(えきていのかみ)・前島密は、ある秘策を用います。
全国に制度を浸透させるために、まず地域の大地主や庄屋に対し、郵便を取り扱うことが「公務」であることを説き、それなりの礼遇をし彼らの公共精神を奮い立たせてると同時に大いに自尊心を満足させていきます。
そして、土地と建物の一部を無償で提供させ、役務を全うさせていくのです。
結果として、江戸の世のついこの間まで飛脚が飛び回っていた国に、明治維新後たった4年でみごとに世界に肩を並べる郵便制度を築き浸透させたのです。なんと鮮やかな、痛快ともいえる展開ではないでしょうか?
先程ご紹介した「アスク武蔵浦和保育園」が開園したのは、明治維新から150年の佳節。
これからの日本にとって必要なこと、いまやらねば手遅れになってしまうことを、社会インフラを有する企業が真剣に考え手を打っていくならば、この国の先には鮮烈にして痛快な展開が待っているのではないでしょうか?