転居届と本人確認

とあるアイドルグループの熱狂的ファンの男が、メンバーの転居届を勝手に提出し、メンバー宛の郵便物を転送させていたとして、窃盗容疑で埼玉県警浦和署に逮捕されるという事件が起きたことがあります。

転居届のしくみ


この事件は「郵便物が届かない」とメンバーの1人が警察署に相談に訪れたことで判明しました。男曰く、「メンバーのものならば何でもいいから手に入れたかった」とのこと。
卑劣な身勝手な犯行ですが、以前はこんなことが簡単にできたのですね。

ここで、転居届のしくみに触れておきます。
郵便局の窓口に行くと「転居届」があります。これを届け出ておくことで、1年の間、旧住所あての郵便物等を新住所に無料で転送してくれるというもの。

窓口にて届出をする場合は本人確認等を行うのですが、若干問題なのは窓口に行かれない人の場合。
転居届をポストに投函、またはインターネットで申し込み(e転居)が可能ですが、本人確認無く済むことが多く、その「盲点」が犯罪に使われました。

前述の事件以降、新居先住所を管轄する配達局による本人確認は大変に重要な任務となっています。
では、現場確認はどのような対応がとられるのでしょうか?
答えは、「とにかく行く」です。

原始的に思えますが、これほど確実な方法は他にありません。ゆうパックなど不在票があるものは比較的判明はしやすいものの、基本は本人確認ができるまで、何度も何度も通います。


しかし、それも簡単ではありません。最近では都市部ではオートロックのマンションが増え、郵便受には名前の表記もないケースが多く、更には女性の一人暮らしの場合は警戒心が強くインターホンにも応じません。
生活をしていれば公共料金等の明細や請求書等の送付がありますので、ある程度の絞込みは可能かもしれませんが、それらをもって本人確認とすることは無理があるでしょう。住所違いでたまたま名前が同じ可能性もありますし、支払に立ち会うこともできません。

転居届がなかったとしても、把握している人名以外の人への配達物があればやはり配達員さんは直接訪問し確認を試みます。なかなか大変なお仕事ですね。
利便性を追いかければ危険性が増し、セキュリティを強化すればせっかくのサービスの利用度合が減る。
良い案はないものでしょうか??